会社の解散・清算にかかる費用

会社の解散・清算プロセス

 事業継続が困難になると、通常は清算して、会社を消滅させることを考えます。おおまかな流れは、まず「会社を清算しましょう」と株主総会で決めて、清算するまでの管理人を決定、続いてこのことを外部に告知し、会社の財産の整理、最後に「清算手続きが終わりました」という届けを出す、というプロセスになります。

 ポイントは、会社の解散・清算とは、ある時点でいきなり発生する事象なのではなく、一連のプロセスだということです。そしてこのプロセスを開始するのが会社解散についての株主総会決議であり、プロセスが終わったことを役所に届けるのが清算結了登記なのです。

 もう少し詳しくみていきましょう。

  1. 会社解散についての株主総会決議
     ここで会社を解散するということと清算までの管理人(清算人)を選任します。清算人は、例えば株主代表などであっても良いのですが、通常は解散を決議したときの代表取締役にすることが多いようです。なお、これらの決議には株主の総議決権のうち、2/3以上の賛成が必要です。
  2. 会社解散及び清算人選任登記申請
     1.の決議について登記します。清算人ご自身がなさってもかまいませんし、司法書士に依頼しても良いです。
  3. 公告
     広告ではなく、公告です。そもそも会社は、その会社にとっての重要な事象が生じたときはこれを外部に告知することになっています。これを公告といい、例えば合同会社が株式会社になるときや、合併・分割、決算をしたときは公告することが義務付けられています。そして解散するときもそのことを公告しなければなりません。
     公告の方法は、会社の定款に定められており、登記事項証明書(登記簿謄本)によって確認できます。ほとんどの場合は「官報に掲載してする」となっていますが、まれにウェブサイトで公告するとか、○○新聞に公告するなどと定められている場合もあります。
     「官報」とは要するに日本政府が発行する新聞です。法律の改廃や高級官僚等の人事などが記載されておりますが、これらと並んで会社の公告事項も掲載されています。
     官報掲載の申し込みは全国の官報販売所で受け付けています。特に本店所在地の販売所でなくても良いようです。ほとんどの官報販売所のウェブサイトから官報掲載文の見本がダウンロードできますので、文面で悩むこともありません。また、2.の登記申請について司法書士に依頼した場合は、司法書士が一括して手続きしてくれる場合が多いです。依頼してしばらくすると「当社は○年○月○日に解散しました。債権者は2ヶ月以内に申し出てください。申し出が無い場合は清算から除訴します。 株式会社○○ 清算人○○」といった公告が官報に掲載されます。
  4. 財産の整理
     これが清算人の一番の仕事です。
     解散した会社は日常業務を行ってはならないのですが、一方で債権債務の整理は行わなければなりません。売掛金の回収や固定資産の現金化、債務の弁済などを行い、残った資産を株主に分配して、会社の資産をゼロにします。
  5. 清算結了登記
     「会社の清算手続きが全て終わりました」という登記です。これでようやく、会社は消滅したということになります。

会社の解散・清算にかかる費用

 それでは、これらの手続きにかかる費用はいくらになるのでしょう。

 最低でも必要なのは、登記の登録免許税と官報公告掲載費用です。このほかに、登記手続きや税務手続きを専門家に依頼すると、それぞれ手数料がかかります。これらをまとめると、次のようになります。

最低限必要な費用
  • 会社解散及び清算人選任登記登録免許税:3万9千円
  • 官報公告掲載料:約3万3千円(1行2854円)
  • 清算結了登記登録免許税:2千円
専門家に依頼するとかかる費用
  • 登記と公告に関する司法書士手数料:最低6万円程度
  • 税務に関する税理士手数料:最低20万円程度

 このように、最低でも7万4千円。専門家に依頼すると、30万円以上にもなります。

会社売却という選択

 会社を無くするためだけにこれだけの費用をかけるのはもったいないですね。特に、清算すれば株主配当が得られるのであればまだしも、残余財産が無ければ、実際上はオーナーの持ち出しです。

 こうした事態を避けたいとお考えのオーナー様には、ぜひ、M&A・会社売却をご検討いただきたいと思います。当会は事業継承の有無、残余財産の有無を問わず、お取り扱いさせて頂きますので、お気軽にお問い合わせください。

 なお、当会は解散登記申請後の会社もお取り扱いいたしますが、解散した会社の譲渡益は、どうしても安くなってしまう傾向にあります。廃業をお決めになった場合でも、解散登記申請を行う前にご相談くださいますよう、お勧めいたします。

ご注意
 本稿では株主総会決議による私的な解散・清算についてのみ記述しました。裁判所が介入する特別清算やあらかじめ定款に定めておいた事由による解散等については記載しておりません。

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