役員(取締役・監査役)の任期を忘れてしまった!

はじめに

 株式会社の役員には任期があります。同じ人が長年にわたって役員を務める場合でも任期が終わるときには再任して登記しなければなりません。これを重任登記といいます。

 ところがそれこそ同一人物が長年にわたって留任していると、重任登記をつい忘れがちになります。こうなると登記の懈怠についての過料(登記を怠ったことについての罰金)が課される恐れがあるほか、あまりに長期間(法定12年)放置した場合は、会社が解散したものとみなされる可能性すらあります(参考:会社法第976条(過料に処すべき行為)、同472条(休眠会社のみなし解散))。

 こうした事態を避けるためにも重任の登記といえどもおろそかにすべきではないのですが、忘れてしまったものは仕方がありません。今からきちんとやることにして、まずは現状の役員の任期を推測する方法について、考えてみましょう。

用意するもの

  • 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)

 本当は定款や決算・確定申告書などもあると良いのですが、これらの書類を保管してある会社であれば、役員任期を失念するという事態は想定しにくいので、ここでは検討しません。

推測の方法

 はじめに、現在の役員の就任日を確認します。これは履歴事項全部証明書に記載されています。

 続いて任期不明の役員の就任日における、役員の法定任期を確認します。役員の任期は会社法や改正前の商法によって定められており、その年限は幾度かの法改正によって変遷しています。これを積算することによって、役員の任期を確定します。

取締役の任期の変遷
根拠法令・条文施行日任期
商法第256条昭和26年7月1日2年(設立時取締役は1年)
会社法第332条平成18年5月1日原則2年(1年~10年の間で変更可能)
監査役の任期の変遷
根拠法令・条文施行日任期
商法第273条昭和26年7月1日1年
商法第273条昭和49年10月1日2年(設立時監査役は1年)
商法第273条平成5年10月1日3年(設立時監査役は1年)
商法第273条平成14年5月1日4年(設立時監査役は1年)
会社法第336条平成18年5月1日原則4年(4年~10年の間で変更可能)

役員任期の変更

 つい忘れがちな重任登記。監査役の任期は変遷が大きく、また取締役と任期が異なることが、管理を難しくしている一因でしょう。管理が難しい場合は、取締役と監査役の任期を統一して10年にするよう、定款を変更しても良いかもしれません。役員任期の変更は株主総会決議事項ですが登記事項ではありませんので、株主が少数の会社の場合は簡単に行うことが出来ます。

会社売買・M&Aにおけるお取り扱い

 当会は役員の重任登記がなされていない会社であっても、M&A・会社売買案件としてお取り扱いいたします。お気軽にお問い合わせください。

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