法人について名称(商号)や本店(主たる事務所)所在地、役員など、登記されている事項を記した書面で、法務局が交付するものをなんと呼ぶでしょう?
謄本? 登記簿謄本? 登記事項証明書? さまざまな呼び方をされているようですので、ここではこれらについて整理してみたいと思います。
まず「謄本」ですが、これはウィキペディアによると「原本の内容全部を写した文書であって、公証権限を持つ公務員が原本と相違ない旨(「これは謄本である。」)の認証文言を付記したものをいう。」とのことですので、法務局が交付する法人の登記事項のすべてを記載した文書は「謄本」といって良いのでしょうが、こうした意味からすると住民票も謄本ですし、それこそ「戸籍謄本」というものもあります。
一方、「登記簿謄本」ですが、これは各法務局にある紙媒体の登記簿の写しという意味です。現在では登記記録のほとんどは電子媒体のデータとなっているため、今、法務局で法人の登記事項を記した書面の公布を請求した場合、「登記簿謄本」がでてくることはほとんどありません。何年も前に閉鎖された記録は紙媒体のままになっておりますので、そうした大昔の登記記録の交付請求をしたときに出てくるくらいです。本コラムを執筆しているスタッフは、職務柄、年に百通以上の「法務局が交付する法人の登記されている事項を記した書面」を見る機会があるのですが、「登記簿謄本」にお目にかかるのは年に数回程度です。お客様が昔に取得されたものをお持ちになった場合や、調査対象の法人の大昔の登記事項について調べる場合などです。
そして「登記事項証明書」です。これは電子媒体の登記簿に記録されている事項を証する書面、ということになります。現在では全ての法務局で新たに登記事項に変更を加えた場合の記録は電子媒体で行っておりますので、今、法務局が交付する登記事項を記した書面といえば、ほとんどがこれになります。現在効力を有する事項は全てこれに記載されていますし、かつて効力を有しており、現在では無効になっている事項についても、近年まで有効だったものについては「登記事項証明書」に記載されます。
ですので現在において効力を有する登記事項を記した書面は、今では間違いなく「登記事項証明書」なのですが、「登記簿謄本」という場合は今でも多くあります。当会でもお客様に説明する際は「謄本」とか「登記簿謄本」とすることがよくあります。
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