近年は振り込め詐欺等への対応として、法人の銀行口座(金融機関口座)の開設が困難になってきております。各金融機関は例えば次のように、口座開設に必要なものをウェブサイトなどに掲載しておりますが、これらのものを用意しても、開設が認められない場合が多々あります。
- 履歴事項全部証明書
- 印鑑証明書
- 来店者の本人確認資料(運転免許証、健康保険証等)
- 来店者と法人の関係を示す資料(社員証等)
- 履歴事項全部証明書
- 印鑑証明書
- 来店者の本人確認資料(運転免許証、健康保険証等)
- 来店者と法人の関係を示す資料(社員証等)
- 来店者へのヒアリング等により追加的に次のもの
会社案内、製品、パンフレット等
事業についての許可証・免許証(不動産業や建設業などの許認可業の場合)
- 履歴事項全部証明書
- 印鑑証明書
- 来店者の本人確認資料(運転免許証、健康保険証等)
- 来店者と法人の関係を示す資料(社員証等)
- 株主名簿
- 設立後6か月以内の法人の場合は追加的に次のいずれか
法人設立届出書(税務署提出の控え)
青色申告承認申請書(税務署提出の控え)
主たる事務所の建物登記簿謄本又は賃貸借契約書
どのような場合に法人の銀行口座開設が困難になるか等について、執筆者が見聞きした事例等を記載します。
- 事務所がレンタルオフィス・バーチャルオフィスでは難しい、というよりほぼ無理なようです。むしろ代表者の自宅を事務所とする方が可能性があります。
- 定款記載の事業目的が多すぎると不利になります。特に許認可を要する事業目的がある場合には、事前にその許認可の取得が求められることがありますので、むやみに事業目的を記載しないほうが無難です。
- 資本金の額が小さいと不利になります。できればかつての有限会社の最低資本金額であった、300万円程度はほしいところです。
- 事務所の賃貸契約書にビル名、部屋番号の記載があるのに、登記上の事務所所在地にこれらの記載が無い場合、手続きが面倒になる可能性があります。本店移転登記を行い、賃貸契約の記載に登記事項の記載をあわせるように求められた事例があります。
- 固定電話がないと不利になります。
- 事前にホームページの開設を求められた事例があります。
- 銀行職員による事務所の現地確認がある場合があります。
- どの銀行が新規口座開設しやすいかは、刻々と変化しています。ただ、不祥事を起こした銀行は、それ以降、審査が厳しくなる傾向にはあるようです。
- ある銀行のある支店で口座開設が断られても、別の支店で認められたという事例があります。ただし、なぜ事務所所在地の最寄の支店ではなく別の支店に開設を申し込むのか、合理的な説明が必要です。事務所所在地近くの支店で断られて、代表者が個人口座を有している支店で認められたという事例があります。
こうして列挙してみると、正業を営む意思(定款目的)と能力(資本金額)があり、開業の準備が整っている(事務所、電話、ホームページ、許認可)といったあたりが審査の基準になっているようです。いずれにせよ、口座開設の申し込みから口座が利用可能になるまで、順調にいっても2週間、少し手間取ると1ヶ月以上を要しますので早めの準備が必要です。
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